文學ザッパ 其の弐 [文章]

文章の丸写しは昔の作家がやっていた文章修練法だ。
梶井基次郎は志賀直哉の小説をせっせと書写していたとか。

今回も、任意の5作家の本から、適当な1センテンスを抜き取ってみる。
適当と言いつつ、多少は文章を選んでしまったが。


■そうしたらそのころジャズの研究に友人がニューヨークに行くことになり、七年前だったから、まだそんなに大勢が向こうへ遊びにいくようなブームにはなっていなかったこともあって、送別記念パーティをやった。□
   植草甚一『植草甚一の散歩誌』


■円紫さんは、そういうとコーヒー茶碗を手に取り、暖かい目でその肌を見やり、次いで一口啜った。□
   北村薫『空飛ぶ馬』


■あとで考えれば、通勤電車の往き帰りにこっそりプラトーンを読むなどということは、やはり私は会社員生活のくさぐさに、何かもう一つ物足りないものを感じていたのだろう。□
   車谷長吉『漂流物』


■いまの時代のこの期に及んでね、苦悩しない男っていうのは人間のカスだと私は決めましたもんで、だからハゲなかったらこれはウソだと、ハゲるくらいにもの考えなかったらバカだっていう前提に立っちゃったわけね。□
   橋本治『思考論理学』


■うまく言えないんだけど、ギリシャ人の男って「女性」っていう性に対してある種、尊敬の念みたいなのがあるわけ。□
   田口ランディ『スカートの中の秘密の生活』



とくに講評は書きません。
ただただ、他人の文章を書き写して「巧いなあ…」と感心する個人企画。
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